まぁそう何回も会ってたら大変ですよ、氏も。笑
28日、29日と熱にうなされる身体に鞭打って・・・でもないけど、またコンサートに行って来ました。


28日 クルト・マズア指揮、フランス国立管弦楽団(・・・って言うの? Orchestre National de France です。)


シューベルト交響曲8番「未完成」
未完成ってくらいなので途中で終わります、案の定。途中っていっても、普通、大体交響曲っていうのは4楽章まであるんだけど(ま、例外も色々あるけど、少なくともシューベルトの時代はそうなのです)、これは2楽章で終わっちゃいます。3楽章スケルツォは20小節しか出来上がってなかったっぽいです。完成させる前に亡くなってしまったわけです。残念ですね。でもとってもいい曲だし、クラシックを知らない人も聴いたことあるかも知れないくらい、1楽章・2楽章とも有名な曲です。


ショスタコーヴィッチ:交響曲13番「バビ・ヤール」
略して何て言うんだろう。ショス13とか? ばびや〜るって言えばいいのかな? 日本でもよくやるんでしょうか? 戦後に書かれた比較的新しい作品ですが、さやかは生を聴いたのは初めてです。シューベルトと違って5楽章まであります。しかも後ろには男声コーラスと、指揮者横にはバリトン・バスが1名。今夜のソリストはセルゲイ・ライフェルクス?(Serguei LEIFERKUS)でした。バビ・ヤールっていうのはキエフの近くにある丘で、41年、ドイツ兵によって7万人のユダヤ人が射殺されたというかなりシリアスな場所です。そしてかなり迫力満点の曲です。金管&パーカス部隊の皆さん方が待ってましたと言わんばかりにガンガンです。それともオイシイけど疲れる系の曲なんでしょうか。多分後者です。笑 民族感溢れる、ぷーんとするハーモニー満載のお気に入りの曲です。ショスタコとかあんまり聴かないからこれから接触を図る機会を増やしていきたいと思う。なにせこれも金管!な曲なのでウハウハだったけど、病中の身体では本気盛り上がりも厳しく、已むに已まれず心で叫びました。


クルト・マズア、巨匠です(だよね?)。
あ、そうだ、前回デュティユーに遭遇したパリ管の指揮者はフレデリック・シャスラン(Frederic Chaslin)でした。振り方がかなりマエストロ・T中に似てて、プログラムとも相まってアヴァンセW.O.感もひときわだったんですが、今回の巨匠はまさに巨匠に相応しいタクト捌きでした。特に前半、シューベルトの時なんて暗譜指揮なので当然譜面台もなく、だから見ませんし当然めくりもナシです。高台の上でペンギン(燕尾服で・・・)が揺れてる程度のもんです。時々挙手、プレイヤーの皆さん方、よく出れますね的です。いやはや正直、小生全く自信がありません。


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29日 ミッコ・フランク指揮 フランス放送響(・・・っていうの? Radio France です)


 今回の座席はオーケストラの真後ろ、ちょうど指揮者と向かい合わせっていう位置の一番前でした。脚が悪いんでしょうか、指揮台の上に椅子があります。でミッコ・フランク登場・・・と思ったらもう指揮台にいた。歩くの早っ!! かなり一人ツッコミして笑いそうになりました。袖から指揮台まで、多分2秒くらいでした。まじで。一体何歳でしょうか。20代後半か30代くらいじゃないんですかね。とにかく若いんだけど、見た目完全にドンです。三代目。素晴らしく恰幅がよくて燕尾も似合いすぎです。そしてお辞儀をしてる時から気付いてしまいました、彼の手の震えに。アル中かヤク中か、はたまたバイオリン時代にビブラート掛けすぎたのか、若しくは棒の振りすぎで常にエスプレッシーヴォを要求する態勢なのかも知れませんね。なんか椅子の意味もなんとなくわかるような気もします。そいういう人生の紆余曲折までもが窺えてしまうポジショニングなのでした・・・。そして奏者との距離が最も近い席な訳で、振り返って客席をガン見してくる奏者がみんな微笑みかけてくれるんですね〜。特にボントロの2ndのおにーちゃんのスマイルにはやられました。


ラヴェル:海の上の小船(・・・でいいの? Une barque sur l'ocean)
かなり好きな曲ですが意外にもこれも生で聴くのは初でした。有名なボレロとかラ・ヴァルスとかスペ狂とかとはまた違った感じの、静かな曲です。静かだけどかなり波感があります。決してどんより暗い感じの曲ではないんだけど、さやか的にはかなり絶望的なイメージがあります。みなさんどうですか? 自分の中ではダウナーになれる曲Best5のうちにもカウントされていて、落ちたいときとかに暗い部屋で聴いたりするけど、今回は普通に感動しました。


CAソロを聴かせてくれたわが師、ステファン・シュシャネック氏の音にはやはりカリスマを感じます。Y先生のような、オーボエの音がカリスマ的なのはわかるけど、CAがカリスマって結構難しいんじゃないかと思うんだけど、彼の音はトゥッティでもなんかわかるんです。舞台に上ってくる時さやかと目が合って、ばっちりウィンクしてくれました。どっしりずっしり屈強そうな体躯に立派なお髭を蓄え、オーボエが小さく見えます。例えるなら紅の豚です。やっぱり先生が乗ってる!って思うと聴く姿勢にも一際力が入りますね。


・サン=サーンス:ピアノ・コンチェルト5番「エジプト人」(例によって日本語訳は知りません。)
なんとソリストは世界が誇る巨匠、アルド・チッコリーニでした。一体何歳なんでしょうか。49年にロン・ティボーに・・・とか書いてあるので、そこから判断してもかなりです。なにしろ見た目がかなりです。見事な白髪と曲がった背骨、登場してからピアノに辿り着くまでの足取りのおぼつかないことと言ったら。ミッコ・フランクが兎ならこちらは亀です。老若の対比が織り成す見事なハーモニーはこんなところにも現れるのでした。しかし顔には常に笑みが湛えられ、身のこなしも真のジェントルでした。今までの人生で見てきた中で、もっとも紳士の名に相応しい人でした。
そして演奏が始まった途端、若返りました。まさか玄海師範・・・? 最高のパワーを発揮する時、体内の細胞がその人の絶頂期の状態に若返るという奥儀でしょうか。さっきまでの緩やかな動きを微塵も感じさせない指捌きです。繊細で流れるようなフレーズ、素早いパッセージと大きい跳躍も確実に掴む確かなテクニック、そして力強いアジタート・・・まったく乱れることなく軽々と弾きこなしていくのです。例によって顔には笑みを湛え、時には険しい表情を以って。そしてなぜか聴衆もみんな笑顔。ピアノの音が声みたいなんです。笑ってる時の声、怒ってる時、機嫌悪い時、眠い時、色々声色がありますね。まるでそういう感じで、時に優しく時に深刻、楽しそうで強気、こんなピアノは初めて聴きました。彼の演奏を他に知りませんが、昔からこうだたのか、それとも亀の甲より年の功、これが匠の域なのか。終演後はスタンディング・オベーションで喝采を浴びる巨匠の汗ひとつかかない顔はやっぱり笑顔でした。いつまでも鳴り止まない拍手にエリック・サティ「ジムノペディ1番」でアンコールに応えてくれました。またその演奏が・・・さやぴょん思わず涙してしまいましたよ。暫く会場も・・・・・ってなってました。ふと客席に目を遣ると、なんと他にも涙してる人がいました。


色々あるけどやっぱり音楽って素晴らしいんだと実感しました。
後半プロについてまだだけど、ちょっとまだ完治してない風邪の様子がおかしいので寝ます。
またね☆